京都市立呉竹総合支援学校1

場面緘黙親の会会長の辻田和彰が、「京都市立呉竹総合支援学校」で2023年11月20日(月)に京都市内の支援学校教員の方々を対象にセミナーを行いました。

講演概要

・日時:2023年11月20日(月)15:30~17:30
・場所:京都市立呉竹総合支援学校
・対象:京都市内の支援学校教員(150人程度)
・実施方法:zoom配信により呉竹総合支援学校から市内の支援学校をつなぐ形式
・テーマ:
「場面緘黙」とは
~場面緘黙児を持つ保護者から伝えたいこと~
・講師:辻田和彰(場面緘黙親の会会長)

講演内容

実際に講演でお話ししたスライド内容のタイトルを下記に抜粋しました。

団体紹介

・場面緘黙親の会について
・LINE オープンチャットについて
・保護者交流会「はぴもくcafe 」について

場面緘黙の基本的な知識

・場面緘黙の診断名および診断基準(DSM 5)
・場面緘黙と選択性緘黙について
・有病率について
・不登校の割合について

保護者としての学校との関わり経験や事例

1、保護者の不安や気持ちの面から考察

①場面緘黙かもと疑い始めた際、誰に相談したらいいかわからない
②保護者自身が不安を抱きやすく、学校への相談が困難
③様子見ましょう、見守っていきましょうと安易に言わないで
④気づいているなら早く保護者側に伝えてほしい

2、安心できる環境づくりの面から考察

①年度が替わって先生の引継ぎができていない
②先生側の無理解で学校が不安な環境になっていく
③場面緘黙児への合理的配慮は先生側から行われているか疑問
④カミングアウトを保護者主導で行わなければいけない
⑤支援学級が居場所として良いか疑問になるケースも多い

3、発話支援の面から考察

①話させようと強要していることに先生は気づいていない?
②発話練習できないか保護者主体で先生に提案、相談しているのが実情
③支援されすぎて「話さなくても困らない」状態になる
④専門機関や専門家と連携し、適切な対応を学校側でも考えてほしい

場面緘黙のある子どもとの向き合い方

・接し方「してほしいこと」
・接し方「しないでほしいこと」
・声がけ「してほしいこと」
・声がけ「しないでほしいこと」

理想的な先生の対応(論文内容紹介)

・通常学級の先生の対応(研究論文より紹介):安心できる環境づくり
・通常学級の先生の対応(研究論文より紹介):発話支援

京都市立呉竹総合支援学校2

講演後の感想

今回、支援学校側からオファーをいただいたのですが、学校の先生方に親の思いを知っていただく機会をもらえて非常に有難かったです。
親の会会長として講演自体が初だったので内容は一から作る形でどうしようか悩みましたが、せっかくの機会なのでなるべく満足していただけるよう作りこみました。

正直なところ、支援学校の先生方が対象だったので、どこまで難しい内容にするのか、具体的な内容にすべきかを悩みました。でも、保護者としてのリアルな話を聞きたいという依頼だったので、保護者側の視点で学校にどうしてもらいたいかを中心にまとめました。

場面緘黙親の会のLINEオープンチャットや交流会で保護者の皆様の悩みや苦しみや体験談を読んだり、聞いたりしていたので、そこで知り得た話をフル活用させていただきました。
ある意味、場面緘黙児の親の代表者として皆様の代弁者になろうと思い、支援学校の先生方に親の思いを知ってもらうよう強く意識した内容になりました。

支援学校の先生方が対象ではあったのですが、一般校の先生方からも場面緘黙の対応方法を教えてほしいと相談が来るということだったので、支援学校というよりも場面緘黙児がたくさんいる一般校の普通学級、支援学級の児童での話を中心にお話しさせていただきました。

講演後にアンケート結果を共有してもらえたのですが、ほとんどの方が講演内容について理解しやすかった、今後役に立てていけそうだという感想だったので、ホッとしました。

また、自由記入でもらった声からは、支援学校の先生方でもまだまだ対応方法を知らなかったり、困っていたり、保護者側の気持ちに気づかされたという方が多く、そこまで理解が広まっていないのだなという印象を持ちました。

印象的だった意見としては、「保護者の本音が聞けて良かった」「保護者に寄り添った形で支援を考えていきたい」「こちら側が良かれと思ってやっていることでも本人がそう感じている訳ではないかもしれない。対応の仕方を学べて適切に関わることができると思った」「場面緘黙の支援の難しさを改めて感じた。個人のスキルがとても求められる」などです。

中でも、実際場面緘黙の生徒を見ておられる先生からは、
「学校だとつい本人に期待したり、“しなければいけないことだから”と、何とか関わり続けさせようとしてしまうところがある。本人の不安に寄り添い、リラックスできる環境を大切にしていきたい」という感想をいただきました。

嬉しい感想ばかりで、講演をして本当に良かったと思いました。

そして、もっと学校の先生方に知ってもらう機会を作ったり、学校側と連携して先生方と一緒に理解を深めていく必要性を感じました。

学校の先生側もまだまだ知らないことばかりで、対応方法に困っているんだと思えたので、保護者だけが一方的に訴えるのではなく、先生方と一緒に考えていくような活動が重要だと思いました。また、今回のような機会があれば、ぜひ講演をしていきたいなと思いました。